「ねぇ、シェアしない?」
親友?
かつて親友だった彩音が離れていき、友達に過ぎなかった舞香と、こうやって一緒に苦しみを味わう。
「優子の苦しみは、私の苦しみだよ。分ければいいんだよ」
「分ける?」
「そう、お弁当をシェアするみたいに」
そう言って、額に張り付いた前髪を分けてくれた。
「悲しいこのとも苦しいことも、私が半分、請け負ってあげる。もちろん、楽しいこと、嬉しいことも半分ずつね」
「舞香」
「なにもかも半分ずつにすれば、1人で背負わなくてもいいでしょ?」
「うん、ありがとう」
さっきまで全身を蝕(むしば)んでいた悲しみが、少しずつ和らいでいく。
私の背負った悲しみを、同じ苦しみを味わうことで、舞香が半分もっていってくれたからだ。
舞香は、私を守ってくれた。
紛れもない親友だ。
舞香と2人なら、きっと乗り越えられる。
終わりの見えないいじめにも、立ち向かっていける気がした。
それでも、安奈からの執拗ないじめはそれからも続いたんだ。
一旦は戦おうとした心が、ストレートな悪意によって萎(しぼ)んでいく__。
しかし、いじめの終わりは突然やってきた。
本当に突然に。