「ねぇ、シェアしない?」
舞香からメッセが届いたのは、夜の9時だった。
学校から帰ると、ようやくいじめから解放されてホッとする反面、夜になるにつれ明日のことを考えて憂鬱になる。
そんな時、舞香と他愛もないメッセをやり取りして気を紛らせていた。
でもその日に限って、なんの返事もない。
【舞香、大丈夫?】と送った、すぐ後だった。
【優子、お願い、早く学校に来て!】
それを見た途端、私はベッドから飛び起きた。
まさか、安奈たちに捕まった?
まだ学校でいじめられてるとか?
深く考えるでもなく、私は家を飛び出していた。
舞香を助けなきゃ!
怖くないって言ったらうそになるけど、私だけなんだ、舞香を救うことができるのは。きっと反対の立場でも、舞香は駆けつけてくれるはず。
夜の校舎は不気味で、ひとの気配はない。
恐らく教室だろうと、2階の3組に向かう。
あっ、武器になるようなものを持ってきてない。
どうしよう。
脅しに使うだけでいいから__ふと廊下に備え付けられている消化器が目についた。なにかあったら煙を噴射してやればいい。
両手で抱えて、自分のクラスの扉に手をかけた。
えっ__?
ぐったりと項垂れて、椅子に縛り付けられている。
殴られたのか、唇が腫れ上がって制服もずたずたに破れていた。
「ま、舞香?」