「ねぇ、シェアしない?」
ぎりぎりと痛いくらいに強く私の手首を締め上げて、島谷が向かった先は職員室ではなく__視聴覚室だった。
今は使われていないのか、誰もいない。
かちゃり。
島谷は中から鍵を掛けた。
「さぁ、説明してもらおうか」
「説、明?」
「そうだ。これは高梨、お前ひとりのカンニングじゃないはずだ」
さらに唇の端がいびつにつり上がる。
こいつ、面白がってる?
私たちがあからさまにいじめられてても、知らん顔してたのに、なんでこんな顔ができるの?
「誰かをかばってるな?」
「誰も、かばってません」
そう言うしかない。
舞香を巻き込んでしまうくらいなら、私ひとりで責任を取ったほうが__。
「なら、どうして問題の解答がわかった?」と、私から取り上げたメモを開く。
「ここには、テストの解答が書かれてある。予めカンニングをしたなら、どうして問題が分かるんだ?まさか、学校に忍び込んで問題を盗んだのか?それならさらに事が大きくなるな。高梨、お前は退学だ」
退学という言葉に、目の前が真っ暗になる。
どうしよう?
どうしたらいい?
「素直に話せば、許してやってもいい」
初めて島谷の口から出た、優しい声だった。
舞香を売れば、私は助かる?