「ねぇ、シェアしない?」


「お前は社会の成績はいい。だからこんなことをする必要はないはずだ。つまり、誰かに答えを教えようとした。それが誰かを先生は訊いてるんだよ」


「それは__」


舞香の顔が浮かぶ。


私の1番苦しい時に、私を助けてくれた舞香。


今回のことも、良かれと思って始めたことだ。責任を押しつけるなんてこと、私には__。


「答えたくなかったら構わない。その代わり退学になるだけだ」


「退学?」


「なんだ、それも嫌なのか?名前は言わない、退学にもなりたくない。なにも無かったことにして帰りたいとは、随分と都合が良くないか?」


島谷が目を細める。


ヘビみたいだ。


弱いものを生殺しにして楽しむ、とても教師とは思えない目をしている。


とその時、チャイムが鳴った。


学校内に喧騒が広がり、私もほっと息を吐き出す。


とりあえず、この密室から出られる。後のことはまた、出てから考えればいい。とにかく今は、ここから出たい。息が詰まりそうな空間から逃げ出したい__。


「残念だが、誰もこない。次の授業にもここは使われない。つまり、あと1時間は先生と2人っきりだ。じっくり相談しようじゃないか、どうするのがお互いにとって1番いいのかを」


にんまりと島谷が笑った。


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