「ねぇ、シェアしない?」


自らブラを取り去り、机を押しのけて叫び声を上げる舞香。


「な、なにしてるんだ⁉︎おい、なにをっ!」


島谷が、暴れ倒す舞香の腕を引っつかむ。


「は、離して!殺される‼︎」


「黙れ!黙るんだ!」


「きゃあああああー‼︎」


髪を振り乱して叫び倒す舞香を、私はスマホ越しに撮影していた。


本当に舞香が襲われている錯覚に陥る。


それくらい、親友の演技は真に迫っていて__。


「おい!開けるんだ!」


外からドアを叩く音がした。


騒ぎを聞きつけて、先生たちがやってきたんだ。


「優子、開けて」


冷静な舞香に指示され、私は慌ててドアを開けた。


その瞬間。


「やめてぇえええー‼︎」


泣き叫ぶ舞香が、呆然と立ち尽くしている島谷に抱きつく。


それは、島谷が生徒を襲っているようにしか見えず__。


「し、島谷先生、なにをしてるんですか⁉︎」


中に飛び込んできた先生たちが、島谷を取り押さえる。


「お、俺は何もしてない!あいつが勝手に!」


島谷が、泣きじゃくっている舞香を指差すけど、誰も聞く耳を持たない。


そのまま連れ出されていった。


「舞香、大丈夫⁉︎」


「優子!」


泣いて私にしがみついてくる舞香の、震えた肩をしっかりと抱きしめる。


でも、私は知っていた。


ううん、私だけは知っていたんだ。





< 82 / 206 >

この作品をシェア

pagetop