「ねぇ、シェアしない?」


放り投げるようにしてスマホを手から離した。


これは一体、なに?


アケミって、誰なの?


まさか達実、私のこと__?


「んじゃ、映画に行こうぜ」


「あっ、うん」


クレープ屋から出て、これから映画を観る。


とてもそんな気分じゃなかったけど、達実に尋ねることもできない。


メッセを交換していた様子はないから、一方的に送りつけられてきたに違いない。あれは、達実のストーカーだ。変に刺激すると逆効果だから、放ってあるのかも。


「ほら、いくぞ」


そんなことばかり考えていたからか、いつの間に達実とは距離が開いてしまい__。


達実が、私の手を握ってくれた。


やっぱり、私を裏切ってるなんてことはない。この笑顔を見ればわかる。きっと達実も被害者なんだ。


アケミという女の、被害者。


私にできることはなんだろう?


少しでも好きなひとの役に立つには__?


翌日、私は舞香に洗いざらいを話して相談した。


まずは、アケミが誰かを突き止める必要があると思ったんだ。


すると、それは予想外に早く判明した。


「それって、隣の三浦明美じゃない?」


「えっ?」


「間違いないよ。そのストーカーは三浦明美だよ」


舞香が断言する。


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