「ねぇ、シェアしない?」


三浦明美(みうらあけみ)。


あのノッポで男みたいなのが、あんなメッセを送る?


「だって、同じバスケ部だし、向井くんにアタックしてるって噂じゃなかった?」


「うーん、確かに。達実から、かなりしつこいって聞いたことあるけど」


「本人に確かめてみる?」


「えっ、それは__」


「彼女として、ちゃんと知ってるってこと、言っておいたほうがいいと思うけど?立場を分からせるために」


舞香の言うことは最もだけど、もし本当にストーカーが三浦明美だとしたら、それって逆効果じゃない?


そんな私の心配をよそに舞香は「行くよ」と、もう教室から出て行った。


「ちょっと!」


私が止まる隙もなく、隣のクラスに入っていく。


そーっと中を覗き見ると、ひときわ目立つのが明美だ。


誰より背が高く、威圧的。


険しい顔のまま廊下にやってくる。


「なによ、話って」


話す前から喧嘩腰だ。


「えっと、あの、その、ちょっと__」


「早く要件」


腕組みをして、ぶすっと見下ろしてくる。


「三浦さん、向井くんに付きまとうのやめてくれない?」


私の代わりに舞香が、どストレートを放つ。


すると、見る見るうちに明美の顔が強張った。


「向井くんの彼女は優子だし、あんなストーカーめいたメッセしても、哀れなだけだよ?行こっ」


それだけ言うと、舞香に引っ張られて教室に戻る。


最後にちらっと振り返ると__唇を噛み締めた明美と目が合った。


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