「ねぇ、シェアしない?」


けれどそれからも、毎日のようにラブレターは下駄箱に入っていて。


中には必ず写真が一枚と、裏に短いメッセージ。


どの写真もかなり離れていて、私のことを盗撮しているんだ。


モールで洋服を見ている写真の裏側には【なにを着ても似合うよ】と添えてあった。


ソフトクリームを舐めている写真の裏側には【抹茶が好きなんだね】と。


電車を待っている写真の裏側には【どこに行くのかな?】と書かれてあった。


「これはもう、ファンという名のストーカーだね」


写真を分析しながら、舞香が言った。


「ねぇ、三浦さんが私に嫌がらせしてるってことはない?」


「三浦明美が?」


「うん。私を参らせるために」


ずっと考えていたことだ。それならあり得るんじゃないかと思ったけど__。


「まぁ、あり得なくはないけど、そんなにヒマかな?部活漬けのような気がするし」


「でも、私の下駄箱を知ってるんだから、学校の誰かだよね?」


「そう考えるのが自然だけど。でもこれ、すごく遠くから撮ってるだけだし、優子に接触してくる度胸はないんじゃない?」


「でも気持ち悪いよ」


「そうだけど。向井くんにもちゃんと相談して守ってもらわなきゃね」


「__うん」


そう返事はしたものの、大事なバスケの試合を控えている達実には言いたくなかった。


舞香の言う通り、あまり気にする必要ないかな?


これ以上、近づいてくること、ないだろうし。


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