「ねぇ、シェアしない?」
「なんか、誰かに見られてる気がするんだよな」
デートの最中、何度も後ろを振り返る達実は、誰もいないのを確認すると首を傾げた。
「それって、ストーカーとか?」
「いや、分かんないけど」
そう言ってまた振り返る。
達実はカッコいいから、人に見られることに慣れているはずなのに__そういったものとは異なる視線だから、なにか感づくのだろうか?
アケミのことを聞きたいけど、そうすると私がスマホを見たのがバレてしまう。
勝手にひとのものを盗み見るような女だとは思われたくない。
ただでさえ、告白されまくってるんだ。
『私もつきまとわれている』なんて話をして場を白けさせたくはなかった。
一通りのデートを終え、ラブホで愛し合った。
すっかり辺りは暗くなったけど、駅から家までは街灯も多いし、それほど注意することもない。
達実の余韻に浸っている私は、すっかり忘れていたんだ。
私につきまとっている、ストーカーの存在を。
途中で公園を突っ切るのが近道だ。
少し薄暗いけど、すぐに向こう側に出るし__。
そう思って公園に足を踏み入れた瞬間、背後にひとの気配を感じた。
えっ?
振り返ると、背の高い男が公園の入り口で立ち止まっている。