「ねぇ、シェアしない?」


「なんか、誰かに見られてる気がするんだよな」


デートの最中、何度も後ろを振り返る達実は、誰もいないのを確認すると首を傾げた。


「それって、ストーカーとか?」


「いや、分かんないけど」


そう言ってまた振り返る。


達実はカッコいいから、人に見られることに慣れているはずなのに__そういったものとは異なる視線だから、なにか感づくのだろうか?


アケミのことを聞きたいけど、そうすると私がスマホを見たのがバレてしまう。


勝手にひとのものを盗み見るような女だとは思われたくない。


ただでさえ、告白されまくってるんだ。


『私もつきまとわれている』なんて話をして場を白けさせたくはなかった。


一通りのデートを終え、ラブホで愛し合った。


すっかり辺りは暗くなったけど、駅から家までは街灯も多いし、それほど注意することもない。


達実の余韻に浸っている私は、すっかり忘れていたんだ。


私につきまとっている、ストーカーの存在を。


途中で公園を突っ切るのが近道だ。


少し薄暗いけど、すぐに向こう側に出るし__。


そう思って公園に足を踏み入れた瞬間、背後にひとの気配を感じた。


えっ?


振り返ると、背の高い男が公園の入り口で立ち止まっている。


< 94 / 206 >

この作品をシェア

pagetop