「ねぇ、シェアしない?」


鳥肌が立った。


歩く速度を上げる。


半ば駆け足で、後ろを振り返ると__。


ぴたり。


男は一定の距離を保ち、ついてきていた。


慌てて走り出す。


すると、男も駆け出したんだ。


「う、ううっ、うそっ」


こんなときに限って、悲鳴が出てこない!


喉に引っかかって、助けを呼ぶ声が出てこない!


だ、だれか!


なんとか公園を突っ切った私は、家まで全速力で走った。


何度も転びそうになりながらも、決して後ろを振り返らず__。


その時、首筋に吐息を感じて、叫び声を上げた。


つ、つ、捕まる‼︎


「いやぁああ!」


家の門をこじ開け、敷地内に飛び込む。


すぐさま後ろを振り返ったが__そこには誰もいない。


確かに、すぐ後ろに気配を感じたのに。


乱れた呼吸を整えてから、家の中に入る。


「どうしたの?凄い顔して」


心配するお母さんを振り切って、部屋に入るとすぐにベッドの中に。


布団を頭からかぶり、自分の体を抱きしめた。


あの公園で見た、背の高い男。


あいつが私の写真を撮っている?


それじゃ、きっと明日も写真が?いや、それって達実とデートした時の写真になる。ずっと私のことを見ていたストーカーが、達実と腕を組んでいる私を見て、どう思ったか?


明日、学校に行くのが怖い__。


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