喪失姫と眠り王子






GWが終わりまた同じ学校生活が始まった。






夏も本番を迎え、蒸し暑くなってくる。








いつもの授業に、清掃、そして帰宅の時、鬼輝は3人に記憶のことについて話した。








「聞いて欲しいことがあるんだけど……私、記憶を取り戻したいの。」







「!!ほんと!」






「うん」








「良かった!」









「やっとこの時が来たな。俺達もキキに記憶を取り戻して欲しかったんだ」










「そうなんだ。じゃぁさ、私は何をしてた人なの?」









「キキはね!私たちのお、」








「お?」









「お、。あれ?声が出ない」








「何してんの!私から言うねキキはお、」







「心花まで何してんだよ」









「ちがう」





「私達はふざけてない。でも、声が出ないの」









「「?えっ!」」












全てのことを桃音と朴に話すと2人からは衝撃的なことを言われた。








龍の呪いとして、記憶を奪うのと王だったということは言えないようになっていた。






つまり、鬼輝が王様だったことは誰も口にすることが出来ないのだ。








でも、記憶を取り戻せない訳では無い。







方法はひとつ。








自力で思い出すのだ。









「それじゃ、私達は何も出来ないじゃないですか」







「いや、出来る」








「妖だということは言えるはずよ」








「……そうか」









「お願いだから順序よく話してね。パニックになられると誰も止められないわ」









「はい。」
















その日からは鬼輝が妖だということは隠したままで、記憶を取り戻すために思い出深いものをあたった。







一緒に通った中学校や、海。






洋服や、お面を。








でも何一つ思い出すことが出来なかった。








そんな日。







3人はあの日からずっとパトロールをしていた。







そして今日はやけに妖怪が多い。






それも危害を加えるヤツらがウジャウジャいる。








1匹1匹倒していると道路の角から人影が近ずいてきた。







3人はそれに気づかず、戦い続けていると後ろから悲鳴が聞こえた。







振り向くと、腰を抜かしていたのはパジャマ姿の鬼輝だった。







「な、なに!」






「……」







「(お面つけるの忘れてた)」







3人はおめんを付けておらず顔が丸出し。







「もしかしてだけど……希音、小花、心音?」








「つ……!にげよ」





「うん」





「おう」









「まって!きゃ!」












3人に気を取られ、足元には大きな目の取れた妖怪がへばりついていた。








黒い靄が鬼輝の足を飲み込んでいく。







驚きのあまり尻もちをついてしまい、鬼輝の周りには妖怪だらけだった。








その場から逃げようとしていた3人も、Uターンし、妖怪を祓った。











「……3人って」









「うん、」










「隠しててごめん」










「全部話すね……」











4人は鬼輝の家に向かった。












家に着いたあとも沈黙が続き、初めに破ったのは希音だった。











「鬼輝……俺たち3人は妖だ。俺は狐、心花は蛇、心音は猫。」








「さっきは、パトロールをしてたの。私たちにとってかけがえのない人がしてたから」









「そして……キキ……妖なの」







「……は?何を言ってるの」








「……本当の事だよ」









「っ、ごめん、頭の整理がつかないから今日は帰って」














3人が帰ったあと、1人夜空を見上げた。






まだ自分が妖だと、受け入れられない。






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