喪失姫と眠り王子
「キキちゃん!!!ありがとー」
「こんないっぱいお菓子貰えるなんで!!」
「俺、気絶しそう」
「2人ともおつかれ」
「うん、なんか精神的に疲れた」
「私も」
「あの桃先輩、大丈夫だった?」
「あの人、性格悪いね。初めて知った」
「前から有名だったけど」
「ん?」
「なんでもないー」
「それより!遊園地だよ!行きたい」
「みんなで行こうよ!」
「ごめん、俺無理」
クラスで盛り上がる中、顔をそむけて言ったのは希音だった。
「なんで?」
「主役がいねーとな」
「もしかしてだけど……高所恐怖症?」
「……バレた?」
1度静まり返った教室は、またもや賑やかになった。
だけど、心花と心音は希音の違和感に気づいた。
その日は気づいていないふりをして、帰った。
「バレてないよな」
家に着いた希音は、戦いの準備をするついでに今日のことを考えた。
とても楽しそうだった鬼輝を見ていると余計に、守りたい。
そう思うようになった。
決して抱いてはいけない思いなのに……。
「この気持ちは閉じ込めるんだ……」
「なにが?」
「うわぁーーーーー!」
「うるせーな。そんな大声出すなよ」
「透さま!」
「ここの使用人、親切だな。すぐ入れてくれた」
「そりゃー名前いえば入れて貰えますよ。」
「ま、いいけど。鬼輝が遊園地に行ってる間に片付けるぞ」
不思議に思った。
遊園地のことは、優勝したクラスしか知らないはず。
それなのに透は、なぜ知っているのだろう。
不思議そうな顔から読み取ったのか、透は笑いながら説明してきた。
「今回の商品、チケットにしてって先生に頼んだんだよ」
「透さまが?そしたら優勝したのも?」
「いや。それは違う。俺達が勝ってキキにあげようかな?って思ってたんだけど負けた」
「そうなんですか……」
「キキは気づいてない?」
「はい。でも、心音と心花はもう」
「そうか。まー、あいつらなら察してくれるだろ」
そして時間は経ち、戦いの時が開かれた。