喪失姫と眠り王子
その日の放課後。
委員会で鬼輝は、会議室に呼ばれた。
全学年が集合しており緊張する。
「キキ?」
「??誰ですか?」
「覚えて、ないの?」
「はい。誰ですか?」
「俺だよ。仲花 透」
仲花 透 (ナカハナトオル)高校二年生。
学校では人気の先輩だ。
イケメンで、頭が良くて運動ができる。
その上ちょっとクールなところが好かれているみたい。
「透先輩ですね。初めまして」
「うん。そうだったね」
「もうすぐですよね?話し合い」
「うん。朝の清掃場所を決めるんだ」
「そうなんですか」
バツが悪そうに透は、頭を掻く。
30分ほどで話し合いは終わり即座に帰宅の準備をし始めた。
なんだか女子からの目線がきつかったような気がしたがそんなことは関係ない。
一方、心花と心音、透は隠れて話し合いを開いていた。
「あのさ、昔のこと思い出させた方がいいのかな?」
「どうなんだろう。でもさ、思い詰めた結果記憶喪失になったんでしょ?」
「多分ね。でも俺達にはキキがいないと続かないと思う」
「まーね、もうあっちは荒れてるみたいだし」
「なんの話し?」
(ガタッ!!後ろから現れたのは鬼輝だった。
「お待たせ!かえろ?」
「う、うん」
「そうね」
「聞こえてた?」
「何が?」
「いや、帰ろうか」
家に帰る方向は一時は同じ道のりだが輪から道に入ると4人ともバラバラになる。
時計の針が誤字を指す頃、家のもんに着いた。
なんだか、背後からの気配がする。
そう思い振り返るとそこには誰もいなかった。
不気味な風に木々が揺らされている。
この胸騒ぎは何なのだろうか。
なにか忘れているものが少しずつ蘇ってくる。
不思議な感覚を胸に鬼輝は、家の玄関を開いた。