喪失姫と眠り王子





「王さま。ちょっとお話が」







「?なんですか、お母様」








「実はですね、明日から人間界の中学校という所に通って頂くことになりました。」







「中学校?なんですか?」









「中学校は、人間界は寿命がすごく短いのです。その中で、12歳になった人間達が入る学校なのですよ」







「12歳で!私はもうとっくの昔に超えてしまいましたよ」






「大丈夫ですわ。王さまはとてもお若い。誰にもバレませんよ!」







「そうかな?」







「そこで、妖怪達がイタズラをしているそうなのでバツを与えに行ってもらいたいのですよ。もっともっと経験をして、よりいい王になって欲しいのです」









「そうね、分かったわ」












翌日着慣れない人間の洋服を着て、人間界に向かった。








人間界には、馬の空飛ぶ馬車を使い天空にある門をくぐる。






眩しい光を浴びて目を開くと、木造で建てられたお寺に着いた。





そこは広い庭に大きな桜の木、山に囲まれ海もある。








妖怪界とは、全く異なっていた。










「人間界って……こんなに綺麗なんだ」








「はい……自然豊かな場所が多いです」








「それより中学校?行かなくていいの」









「……遅刻確定ですね」





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