愛のこもった料理をいただきます!
三品目 彼の手料理
土曜日の昼、私は彼の家に向かう。彼がどんな料理を作ってくれるのかワクワクしながら。
涼太も私の家に来る時、こんな感じだったのだろうか。
涼太の家に着き、私はインターホンを押した。そこで出てきたのは、涼太のお母さん。涼太のお母さんは「梨香ちゃん、上がって!」と微笑んだ。
私は涼太のお母さんに、お菓子を渡してキッチンへ向かう。涼太がキッチンにいると教えてもらったからだ。
キッチンに入ると、いつも調理実習で使っているエプロンを着た涼太は私を見ると「ごめん!まだ出来てないんだ…」と悲しそうに微笑んだ。
「大丈夫だよ。私も手伝おうか?」
「大丈夫。後は揚げるだけだから」
涼太は、形を整えた何かに小麦粉、卵、パン粉の順番に付け、それを皿に置く。
「これは、コロッケ?」
私が問いかけると、涼太はコロッケを温まったフライパンに入れながら「正解だよ」と微笑んだ。
「こんな所に居ないでリビングに行きなよ。太一(たいち)と千夏(ちなつ)が待ってるよ?」
太一くんと千夏ちゃんは、涼太の弟と妹だ。太一くんとは2つ離れており、千夏ちゃんとは3つ離れている。また、良く涼太の家に来ているせいか太一くんと千夏ちゃんとも仲良しだ。
「…ずっと涼太の作ってる所見てて良い?」
「…ったく、しゃーねぇな。好きなだけ見てろ」
涼太は恥ずかしそうに答え、料理集中する。涼太は、フライパンの様子を見ながらキャベツを刻む。私と同じように千切りにしようとしているらしい。