あなたを好きだった頃、

 私はこの頃ちょっと辛いことがあった。
 楽しそうに笑う皆が羨ましくて時々目を瞑りたくなっていた。でも、最後だから今を楽しみたい気持ちもあって、思うようにならない自分がどんどん嫌いになっていった。

 だから、あなたの笑顔が凄く眩しくかった。多分、笑顔を無意識に探していたんだと思う。世の中ではいつも幸せで、前向きで、一生懸命努力して成功する人が正しいみたいな暗黙の了解があるよね。私はいつもその反対に生きていた。どんなに努力しても私は正解になれないと思っていた。いつも不幸で、後悔ばかりしていて、どんなに頑張っても結果なんか出なかった。あの頃はそんな自分が大嫌いだった。

 でも、今になったらわかるの。もし私が正解の方に生きていたら、きっとあなたに出会えないままだったんだろうなって。それなら間違いでいいからあなたと出会う人生を選ぶと思う。それくらい、あなたは私にとってかけがえのない人なんだよ。


 あなたに出会ってから私の見える世界は変わっていった。まずよく笑うようになった。教室でも、友達と話している時でも、電車の中でも、あなたがふと私の中に浮かんだとき「私もあんな風に思いっきり笑おう」と思えたから。嘘でもいいから、思いっきり笑えばあの人近づけるんじゃないかと思ったんだ。そうすれば、いつかあの人の隣にいられる気がした。
 私の中であなたはどんなヒーローよりも強い立った一人だった。
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