死者の愛〜最期のメッセージ〜
「とにかく！俺は咲を殺してなんかいません！！たしかに咲は、自傷行為をしてしまう癖がありましたが、一緒にポーランドに行こうって約束だってしていたんです！」

「ポーランド？」

藍が口にすると、上山英二はポーランド語の勉強をするための本を取り出す。

「テレビで景色を見て、いつか行きたいって話してたんですよ」

懐かしそうに上山英二は言う。その後は、「殺していない」と言い続けていた。どうやら、警察にかなり疑われているようだ。

藍と大河はマンションを後にした後、事件について話していた。

「やっぱり上山英二が怪しくないですか？怒られた腹いせに……とか」

「なら、どうしてナイフで刺したりしなかったの？衝動的な殺人ならそうするんじゃないかしら」

「それは、自殺と見せかけるためじゃないですか？」

「なら監禁する必要はないわ。騙して毒を飲ませればいいもの」

食事をしている時も、二人の会話は事件についてだった。食事中にする話ではないというのに、藍は出されたパスタをおいしいと思えた。
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