たとえ叶わない恋でも。
「……っはぁ…はぁ…お、おはようございます」
「うん、おはよう上川(かみかわ)。あと1分遅かったら遅刻扱いになってたからな」
結局、あれから全力疾走しても予鈴には間に合わず、本鈴が鳴る1分前に着いた。
「はぁい…これから気をつけまーす…」
教室の前から、自分の席に移動する。
その前に、先に着いた智希にあっかんべーっと舌を出した。
私より数分前に着いて、涼しい顔して座っているのがどうも気にくわないのだ。
すると、私が睨んでいるのに気づいたのか伏せていた目をこっちに向ける。
それにもう一度、あっかんべーをしてやると、
ふっと笑って机に顔を伏せた。