たとえ叶わない恋でも。
*
「みーずき!帰ろっ!」
全ての授業を受け終え、今は放課後。
筆箱やノートなどをカバンに詰めて帰る準備をしていると、後ろから瑠衣の元気な声が耳に響いた。
「うん、帰ろ」
カバンを持ち上げ、昇降口に向かう。
「……でね、汰一ったら私に対してすごい生意気な態度取るの!汰一のくせに!
瑞稀はどう思う?」
「えっ……うーん…汰一くん良い子だと思うよ?」
汰一っていうのは瑠衣の3歳年下の弟のこと。
汰一くんも瑠衣もなんだかんだで仲がいい兄弟なんだ。
「えー?まぁ汰一だからね…良い子だよ?そりゃ、人前では」