浅葱の花びら
月日が流れ、また桜が咲いた



薫は、宴に参加しなかった




僕は、最初だけ参加して
屯所に戻った




「じゃあ、またね!」


薫が見送っている人物に見覚えがあった

薫の家に養子になった男だ





「へぇ 付き合いがあったんだ?」

薫は、振り返り頷いた


薫にしてみれば義兄弟なんだろうけど
嫉妬している



お辞儀して、僕の前から去ろうとする



「アイツと結婚したら両親の元に戻れるとか考えてないよね?」



なんて嫌な言い方だろう

言ってから後悔する



薫が首を横に振った



これじゃまるで

帰るところがないよって言ってるみたいだ



なのに、ニコリと笑って行ってしまう






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