浅葱の花びら
その夜、もう会いに来ることもないだろう
両親の事を考えていた

こんなにあっさりと別れるなんて


甘えた記憶もない

大事にされていたがそれは


藤太郎だと思ってたからだ



「大丈夫か?」


声を掛けてくれたのは、永倉新八

「ああ、なんか拍子抜けしてるとこ」

「拍子抜け?」

「俺は、2人の子供ですらなかったのかなって思ってな
医者になりたかったのかは、五分五分だけど、人を救いたかった
出来れば医者として
でも、後悔はないな
藤太郎も命がけで守ったはずだから」

普段、馬鹿みたいに騒いでは怒られる
永倉が、真剣な面持ちで


「泣いてもいいんだぞ」


そう言った後の永倉は、泣きそうな顔


「男は、泣くなと言われて育った」


と、笑ってみせると


「馬鹿野郎」


永倉は、代わりに泣いてくれた



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