美男子の部屋に保護されました
だけど、そこでちゃんと話せれば、いい歳して人見知りなんてしてないわけで…

結局、私は何も言えないまま、宮原さんと共に私の部屋へ来ていた。

「うわっ!!
書庫に住んでるみたいだな。」

宮原さんは驚いた顔で部屋を見渡す。

「でも… うん、やっぱり。」

そう言って、宮原さんは、にっこりと笑った。

「俺と趣味が似てる。」

「えっ?」

「このシリーズもこの作家の本もあれも、
うちにあるよ。
うちにある本は好きに読んでいいから、
どうしても必要な本だけ持って行こう。
で、休みごとに少しずつ運べばいい。」

宮原さんは、ひとりで納得して決めていく。

「食器や家電は、うちのを使えばいいから、
由里子さんがどうしても必要な物だけ、鞄に
詰めて。
着替えとか、化粧品とか。」

「あの… 」

おずおずと私は口を挟む。

「本を除けば、私にはトラックが必要なほどの
荷物はありませんけど… 」

すると、宮原さんの目が点になった。

「ベッドは?」

「えっ?」

「うち、ベッドひとつしかないけど。
由里子さん、俺と一緒に寝る?
ま、ダブルだから、俺はそれでも
いいけど。」

言われて初めて気づいた。

私は慌てて首をブンブンと横に振った。

それを見て、宮原さんは楽しそうに笑う。

「くくっ
だろ?
さすがにベッドを2人で歩いて運ぶのは、
なぁ?」

歩いて?

はっ!!
私、宮原さんの家、知らない!
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