美男子の部屋に保護されました
「あの…
宮原さんのお宅って、どちらなんですか?」

私はまたおずおずと尋ねる。

宮原さんは、目を見開いて、「ハハッ」と笑った。

「ごめん。大事な事、言ってなかった。
そこだよ。」

宮原さんは、窓から外を指差した。

「えっ!?」

その指の先にあるのは、常にうちを日陰にし続ける高層マンション。

「ええっ!?」

驚いて二度も声を上げる私を、宮原さんは楽しそうに見て言う。

「驚いたのは、俺の方だよ。
俺、コンビニには結構行くのに、今まで
会ったことがないなんて。
こんなご近所に住んでるって知ってたら、
もっと前からアプローチできたのに。」

「私、コンビニには、滅多に行かないから。」

「そうなの?
一人暮らしなのに?」

それってそんなに不思議なこと?

「スーパーで食材を買って、毎日自炊
してたら、コンビニに行く必要なんて
ありませんから。」

「へぇ。
今日はめんどくさいからお弁当を買って
帰ろうとか思わないんだ?」

「そんな事したら、食材が傷んでしまう
ので。」

「じゃあ、おやつは?
プリン食べたいな、とか、ポテチ食べたいな
とかないの?」

宮原さんはすごく不思議そうに尋ねる。

私は、百聞は一見にしかずと、冷蔵庫を開けて見せた。

そこには、休みの日に作った常備菜と杏仁豆腐。
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