美男子の部屋に保護されました
私たちは、家路へと急ぐ。

今日の晩御飯は、朝のうちに唐揚げを仕込んできた。

帰ったら、衣をつけて揚げるだけ。

マンションに着き、部屋着に着替えると、エプロンを着けて、晩御飯の支度をする。

その間に、宮原さんにはお風呂に入ってもらい、急いで準備をした。

「わっ! いい匂い!」

宮原さんが髪を拭きながら、やってきた。

テーブルに置いた唐揚げを、立ったままつまみ食いする。

「うん、うまい!
由里子さんは、料理上手だね。」

褒めてくれるのは嬉しいけど、お風呂上がりの宮原さんは、目のやり場がなくて困る。

すると、宮原さんがこちらに来た。

「由里子さん? どうした?」

「あ、いえ、別に… 」

私が固まれば固まるほど、宮原さんは心配そうに近寄ってくる。

ついに私の隣まで来た宮原さんは、また後ろから抱きしめて、

「何か、手伝えることある?」

と耳元で尋ねた。

「きゃっ!」

吐息が耳にかかって、膝から崩れ落ちると、宮原さんは慌てて私を抱きとめた。

耳に息がかかると力が抜けるなんて、初めて知った。

「由里子さん?」

「いえ、なんでも… 」

もう、恥ずかしくて仕方ない。

お願いだから、そっとしておいて。

だけど、私のそんな願いなんて、伝わるはずもなく…

宮原さんの過剰なスキンシップは止むことはなかった。
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