美男子の部屋に保護されました
それから5日後の朝、優美が嬉しそうに駆け寄ってきた。

「見たよ〜
由里子、昨日のあれ、誰?
ついに彼氏できたの?」

「えっ?」

「とぼけなくてもいいよ。
昨日、彼氏が迎えに来てたでしょ?」

あ、見られたんだ。
どうしよう。

「あ、あれは、彼氏とかじゃなくて… 」

「ああ、じゃあ、口説かれてる真っ最中だ?」

「くどっ!?
いや、そういうのは… 」

なんて下世話なものの言い方をするんだろう。

「だって、何の見返りもなく迎えになんて
来るわけないでしょ?
由里子のことが好きだから、尽くしてくれる
んでしょ?
いいなぁ。どんな人? かっこいい?」

「かっこ… 」

いいよね? でも、男の人をかっこいいなんて褒めたこともないし、口にするのも恥ずかしい。

私が返事を返さないでいると、

「分かった! 今度、紹介してよ。
今日は? 迎えに来るの?
一緒に食事とかどう?」

優美はいつも「うん」と言うまで押してくる。

私は諦めて、

「じゃあ、聞いてみるね。」

と答えた。

本当は、宮原さんを優美には合わせたくない。

だけど、合わせるまで優美はしつこく言ってくるだろう。

1回だけ。

1回だけ、食事に行けば、それで終わる。

私はそう考えて、宮原さんにメールを打つ。
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