美男子の部屋に保護されました
『お仕事中にごめんなさい。
同期の子が、昨日、宮原さんの車に乗る
ところを見たらしくて、紹介しろと言って
ます。
もし、ご迷惑でなければ、一緒に食事などに
行っていただけると助かるのですが…
お仕事などで無理な時は、はっきりと断って
くださって構いません。』

お願い。
どうか、断って。

そんなことを思いながら、送信ボタンを押す。

だけど、しばらくして帰ってきたのは、

『大丈夫ですよ。
今日は早く帰れるように調整しました。
お友達と食事に行きましょう。
由里子さんに相応しいと認めてもらえると
嬉しいです。』

との返信。

はぁ………

仕方ない。
優美にそのまま伝えよう。


もちろん、優美は二つ返事で了承した。



閉館後、今日は優美と2人で駐車場へ向かう。

私たちの姿が見えると、宮原さんは運転席から降りて、こちらに向かって会釈をした。

「キャー!
由里子、どういうこと!?
あの人、宮原書店の人だよね?」

優美が私の腕を掴んで問い詰める。

「うん。いろいろあって。」

それ以上、言えないまま、車に到着する。

「宮原です。はじめまして。」

宮原さんが頭を下げると、

「田口優美です。はじめまして。」

と優美も頭を下げる。

「どうぞ。」

と促されて、私は優美と一緒に後部座席に乗った。

だって、1人だけ助手席に乗る勇気はないんだもん。
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