美男子の部屋に保護されました
宮原さんは、おしゃれなイタリアンレストランに連れてきてくれた。

「私は運転があるので飲みませんが、
よろしければワインもどうぞ。」

と宮原さんはワインメニューも勧めてくれる。

私たちは、コース料理とグラスワインを頼んで、食事を始めた。

「おふたりは、どうやって知り合ったん
ですか?」

早速、優美が聞いてくる。

宮原さんは、ちらりと私に視線を向けると、

「由里子さんがうちの店に毎日来てくださって
いたんです。
素敵な人だなと思って、見てたんですよ。」

と微笑んで言う。

そんな恥ずかしいこと、堂々と言わなくても。

「ええ!?
宮原さんなら、わざわざこんな
おとなしそうな子選ばなくても、
寄ってくる人はたくさんいるでしょう?」

ズキン

優美は間違ってない。
それで傷つくのは私が間違ってる。

それでも、優美に突きつけられた現実は、確実に私の心を抉(えぐ)った。

「私に寄ってくる女性が全くいないわけでは
ありませんが、由里子さんより魅力的な
女性はいませんよ。」

私は強張った笑顔を貼り付けたまま、宮原さんの言葉を聞く。

「ふたりはいつから付き合ってるんですか?」

付き合ってないって言ったのに、なんでそんなこと聞くの?

優美の意図が分からない。

「うーん、今のところ、私の片思いですね。
いつか由里子さんが振り向いてくれると
いいんですが。」

「ああ、だから、毎日迎えに来てるん
ですね。
こういう固そうな子は落とし甲斐が
あるでしょう?」

えっ?
ああ、そういうこと?
私みたいに男性に免疫のない女を落とすゲームをしてるんだ。
そうだよね。
じゃなきゃ、宮原さんみたいに素敵な人が、私なんかに好意を持つはずがない。

「ごめんなさい。私、ちょっとお手洗いに。」

それ以上、聞きたくなくて、私は席を立った。

< 30 / 91 >

この作品をシェア

pagetop