美男子の部屋に保護されました
昨日、想いを伝えた後、抱きしめられながら、ドキドキした。

相思相愛である幸せを噛み締めながら、私は覚悟をした。

ひとつ屋根の下に想いを通わせた男女が住んでいる。

いくら奥手な私でも、その状況で求められるのは自然な流れだと思うし、怖いけれど、勇気を出して応じようと思っていた。

けれど、そんな私の意に反して、宮原さんはそっと腕を解き、
「先に風呂に行ってくる。」
と脱衣室に行ってしまった。

それを見送って、私は、
そうよね。
こういう時は先にシャワーを浴びるものよね。
と思っていた。

その後、私が入浴し、リビングに戻ると、宮原さんはソファーから立ち上がりそっと抱き寄せながら、言った。
「由里子さん、今日は本当にありがとう。
これから、末永くよろしくね。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」


その時は、私はまだ、そこからコトが始まるものだと思っていた。

なのに…

「じゃ、由里子さん、おやすみなさい。」
と私を腕の中から解放して、私の部屋のドアを開け、見送ってくれたのだ。

そんな事をされたら、部屋に入らないわけにはいかず、部屋に入ると、パタンと優しい音でドアを閉められ、私は呆然と立ち尽くした。

あれ?
こんなもの?
あんなコトやこんなコトはしないの?

男性と付き合ったことのない私にはよく分からないが、物語の男女が脚色されてるだけで、現実の男女はこういうものなの?

私はよく分からないまま、悶々と眠れぬ夜を過ごした。
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