美男子の部屋に保護されました
私たちは、朝食前にそれぞれ温泉に入りに大浴場へと向かった。

洗い場のシャワーの前で風呂椅子に腰掛けると、鏡に昨日とは違う私が映る。

大和さんに愛された私。

よく見ると、胸元にひとつ小さな赤い痕が付いている。

これ…

恥ずかしくなった私は、慌てて洗い流そうとするが、当然、石鹸で洗い流せるものではなく…

私はさりげなく胸元を手で押さえて湯船に浸かった。

人に見られることさえなければ、これは幸せの証し。


私は、温泉を堪能して、部屋に戻った。



部屋では、先に戻っていた大和さんと美味しそうな和朝食が待っていた。

私たちは、2人で仲よく朝食をいただき、旅館を後にする。

途中、お土産屋さんにより、私は図書館に、大和さんは職場にお土産を買った。

車に戻ると、大和さんは、細長いお土産の袋をくれた。

「安物だけど、今日の記念に。」

何?

「開けていいですか?」

私が尋ねると、

「もちろん!」

とにこやかな笑顔が帰ってきた。

袋を開けると、中から透明な袋に入ったネックレスが出てきた。

「これ… 」

三日月の先に小さなストーンが付いたチャームが揺れている。

「朧月じゃなくてごめん。
でも、何か今日の記念になるものが
欲しかったんだ。」

照れたように目を合わせずに言う大和さんが、なんだかかわいく見えた。

「ありがとうございます。
大切にしますね。」

私はそう言って、ネックレスを袋から取り出し、付けてみた。

「うん、よく似合ってる。
かわいい。」

大和さんに褒められて、嬉しくなった。
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