美男子の部屋に保護されました
31日、14時。

下からのインターホンで両親の到着を知る。

部屋で解錠すればいいんだけど、私は機械音痴な両親のために下まで出迎えに行った。

「お父さん、お母さん、いらっしゃい。」

「由里子、久しぶり。
元気だった?」

まず母が歩み寄る。

「うん。とりあえず、部屋で話そう?」

私は両親と共にエレベーターに乗る。

「それにしても、立派なマンションねぇ。
家賃、高いんでしょ? 大丈夫なの?」

「うん。
実は、私ひとりで住んでるわけじゃ
ないんだ。」

本来なら、両親が来る前に電話で説明しておけば良かったのかもしれない。

けれど、父は私を溺愛しているので、男性と住んでる所へ招待なんてしたら、拗ねて行かないって言いかねないので、黙っていることにした。

「ひとりじゃないって、
流行りのルームシェアとかいうやつ?」

先にそっちか。

全く同棲を疑わない所が、私がいかに男っ気がなかったかを物語っている気がして、苦笑いがこぼれる。

「話せば長いんだけどね、端折って言うと、
男の人と住んでるの。」

私がそう言った途端、父の顔色が変わった。

「男って、どういうことだ?」

父の声のトーンが一気に低くなる。

「今、裁判中なんだけどね、いろいろ助けて
もらって… 」

「裁判!?」
「裁判!?」

両親が声を揃えて驚く。

そうだよね。
普通、裁判なんて一生縁がないものだよね。

「うん。
詳しくは、部屋で説明するから。」
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