美男子の部屋に保護されました
エレベーターは最上階に到着し、鍵を開けて部屋に入る。

「ようこそお越しくださいました。」

ドアの音を聞いて、大和さんが奥から挨拶に来た。

「由里子さんと一緒に暮らしてます宮原大和と
申します。」

そう言って、大和さんはうちの両親に向かって一礼する。

「こちらこそ、由里子がお世話になって
おります。」

母も頭を下げるが、父は不機嫌な表情を隠そうともしない。

私はスリッパを出し、2人に上がってもらう。

リビングに通して、ソファーを勧め、私はお茶を入れにキッチンへと向かった。

両親の向かいに座った大和さんは、いつものように穏やかな微笑みを浮かべている。

いや、でも、ちょっと表情が固いかな?

もしかして緊張してる?


「由里子はいつからこちらに?」

母が尋ねた。

「夏頃からです。
由里子さんは心配させたくないから…と
ご両親には内緒にしていらっしゃったよう
ですが、実は、帰宅中にストーカーに
襲われまして。」

私は、無言で4人分のお茶を出し、大和さんの隣に座る。

「襲われたってどういう事だ!?」

父が声を荒げた。

「大した事はなかったの。
幸いすぐに逃げ出して無事だったし。」

私に続いて大和さんが補足してくれる。

「その時、私はたまたま由里子さんが
駆け込んだコンビニに居合わせたので、
この部屋に一緒に住む事を提案したん
です。」

「あのね、警察の人に言われたの。
あそこで待ち伏せされたって事は、多分、
家も知ってるって。
危ないから、しばらくは実家に帰るか、
友人宅に泊めてもらいなさいって。
でも、仕事があるから、お父さんの所へ
行くわけにもいかないし、急に泊めてって
言えるほど仲良くしてる人もいないし、
困ってたら、大和さんがうちへどうぞって
おっしゃってくださったの。」

私は、ひと息に説明する。
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