美男子の部屋に保護されました
「そうねぇ。
宮原さんが由里子を大切にしてくださってる
のも、由里子が幸せそうなのも、見てれば
分かるし、ねぇ?」

と母は父を見る。

だけど、父は、不機嫌な顔を崩すことはなく…

「今、幸せだから、30年後も幸せとは
限らないだろう?」

はぁ………

やっぱり反対なんだ。

私が思わずため息を漏らした直後、母が突然父の鼻をつまんだ。

「んんー、何するんだよ。」

父が母の手を振り払うと、母は言った。

「そんなの、私たちだって同じでしょ。
今は幸せでも、あなたが60になった時に
同じように幸せだとは限らないわよ。
熟年離婚って言葉はご存知?」

父の顔色が瞬時に変わった。

「まさか、お前、そんな事… 」

母は、薄く笑みを浮かべて言う。

「あなたがいい歳して子供じみた意地悪
ばかりしてると、愛想を尽かす事がないとは
言えないと思わない?」

つ、強い…

これは父に愛されてる自信があるから言えるの?

私なら、大和さんにこんな事、言えない。

「………
分かったよ。認めればいいんだろ。
まったく…
女同士で結託して… 」

父は、ブツブツ言いながらも、私が大和さんと一緒に暮らし続けることを認めてくれた。
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