美男子の部屋に保護されました
大和さんにプロポーズされた翌日、指輪をつけて出勤した私に、優美が気づいた。

「由里子、それ!」

「うん。
一昨日、もらったの。」

私は照れながらも正直に話した。


それから数日後のミーティング。

議題は
〔図書館利用者を増やすために
どんなPRをするか〕

そこで優美が意見を出した。

「結婚式はどうですか?」

ホールで結婚式。

最近は、水族館や美術館など、変わった所で結婚式を挙げるカップルも多い。

幸いこの図書館は、教会風の尖塔形の屋根を持っている。

雰囲気としては悪くないかもしれない。

私をはじめ、他の人たちも賛成したので、市役所の上層部に申請書類を上げることになった。

しかし、一般的に結婚式を希望するのは週末だが、公共施設である以上、そのために図書館を休館させるわけにはいかないという問題に直面した。

そこで、私に白羽の矢が立った。

図書館を開館したまま、結婚式ができることを確認する意味も含めて、私たちにここで結婚式をするように言われたのだ。

大和さんに相談したら、
「由里子にぴったりの結婚式ができそう。」
と一も二もなく賛成してくれた。

テストということで図書館使用料は無料。

市の広報誌などでこの日は結婚式をするという告知をして来場者に極力迷惑をかけないように配慮して当日を迎えた。

前例がないことなので、準備は大変だったけれど、本が大好きで図書館が大好きな私にとって、ここで結婚式を挙げられるのは嬉しいことでもある。
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