毒壺女子と清澄男子
あたしの体はいきなり宙に飛んだ
その原因が来日してすぐ過密なスケジュールで組まれたミーティングの合間を縫って、日課のランニングをこなしていた外国人男性の衝突のせいだと知ったのは、その日の夕方に目を覚ました銀座のど真ん中にある会員制セレブ病院の病室
「な、ここ」
目を開けて最初に見たのは、両手を組んで神に祈るようなポーズでベッドの脇の椅子に座る小山のように体格のいい金髪の男
そいつはあたしが一言発した瞬間、ガバァッと組んだ両手を外し真っ白な顔の中にある真っ青な目を大きく見開いて叫んだ
「ヘイ! ドクター! ドクター! オーゥ アーユー オールライッ? 」
何故点滴をされてベッドへ横たわっているのか?
何故この外国人は興奮しているのか?
何故ここは高級マンションの一室のようなインテリアなのか?
ココハドコアタシハダレ? っていうかあんたダレ? 状態の中、叫びを聞きつけ駆けつけて来たドクターが
「お名前は? 」
と尋ねて来たので、落語が好きだったおじいちゃんが入院した時によく言っていた洒落
「どうも、アラン ドロンです」と言いたくなる気持ちを抑え
「本郷 みさと です」
とまともに答えれば矢継ぎ早に年齢、生年月日、会社名を尋ねて来た
「平成○○年 6月17日 28歳 エクソン株式会社 法人営業部所属」
「大丈夫ですね、きちんと受け答えも出来ているし。軽い脳震盪といったところでしょう」
ドクターはそこまであたしに向けて言った後、外国人にペラペラと通訳し、状況の説明に入る
その原因が来日してすぐ過密なスケジュールで組まれたミーティングの合間を縫って、日課のランニングをこなしていた外国人男性の衝突のせいだと知ったのは、その日の夕方に目を覚ました銀座のど真ん中にある会員制セレブ病院の病室
「な、ここ」
目を開けて最初に見たのは、両手を組んで神に祈るようなポーズでベッドの脇の椅子に座る小山のように体格のいい金髪の男
そいつはあたしが一言発した瞬間、ガバァッと組んだ両手を外し真っ白な顔の中にある真っ青な目を大きく見開いて叫んだ
「ヘイ! ドクター! ドクター! オーゥ アーユー オールライッ? 」
何故点滴をされてベッドへ横たわっているのか?
何故この外国人は興奮しているのか?
何故ここは高級マンションの一室のようなインテリアなのか?
ココハドコアタシハダレ? っていうかあんたダレ? 状態の中、叫びを聞きつけ駆けつけて来たドクターが
「お名前は? 」
と尋ねて来たので、落語が好きだったおじいちゃんが入院した時によく言っていた洒落
「どうも、アラン ドロンです」と言いたくなる気持ちを抑え
「本郷 みさと です」
とまともに答えれば矢継ぎ早に年齢、生年月日、会社名を尋ねて来た
「平成○○年 6月17日 28歳 エクソン株式会社 法人営業部所属」
「大丈夫ですね、きちんと受け答えも出来ているし。軽い脳震盪といったところでしょう」
ドクターはそこまであたしに向けて言った後、外国人にペラペラと通訳し、状況の説明に入る