毒壺女子と清澄男子
ヨレヨレの白青ボーダーのロンT、同じくヨレヨレのチノパンツを身に着けたボサボサ頭で黒縁メガネで垢抜けないどころか土の中すら出ていないレベルの若い長身の男
街中でこんなのを見かけたら、すぐに避けて歩くだろう
それでもこの家から出て来た以上は取引先でしかも資産家なので失礼があってはならない
「はいー、どなたですかー? 」
「あの、エプソムの本郷と申します。神田からの紹介でこちらにお伺いしたのですが。こちらはご挨拶の品でございます」
丁重に頭を下げて名刺と竹虎屋の羊羹を差し出すと、男は頼りなさそうな顔にほけーっとした笑顔を浮かべてこの家の奥様の趣味らしきゴブラン織りの花柄スリッパを差し出す
「あーエプソムさんですねー、まあ上がって下さい」
鷹揚な態度から察するに、もしかして資産家のご子息だろうか
服装が残念なのはさておき、のんびり育った坊っちゃんという印象の男の後に付いて行くと庭に面した古い日本家屋の居間へ通される
よくドラマで「娘さんを下さい」と男が土下座をするような設えだなと思いつつ大きな木の輪切りで作られた座卓へ床の間を向かい側にして座り、家主が登場するのを待つ事十分
廊下でドタドタという足音が聞こえ、現れたのは…
頭へねじり鉢巻を締め、ダボシャツを着てゴムの腹巻きに茶色のサルマタを履いたオッサンだった
まるでバカボ○のパパといった風体のオッサンは、あたしの会釈など気にせず床の間を背にして座り、ニターッと笑う
街中でこんなのを見かけたら、すぐに避けて歩くだろう
それでもこの家から出て来た以上は取引先でしかも資産家なので失礼があってはならない
「はいー、どなたですかー? 」
「あの、エプソムの本郷と申します。神田からの紹介でこちらにお伺いしたのですが。こちらはご挨拶の品でございます」
丁重に頭を下げて名刺と竹虎屋の羊羹を差し出すと、男は頼りなさそうな顔にほけーっとした笑顔を浮かべてこの家の奥様の趣味らしきゴブラン織りの花柄スリッパを差し出す
「あーエプソムさんですねー、まあ上がって下さい」
鷹揚な態度から察するに、もしかして資産家のご子息だろうか
服装が残念なのはさておき、のんびり育った坊っちゃんという印象の男の後に付いて行くと庭に面した古い日本家屋の居間へ通される
よくドラマで「娘さんを下さい」と男が土下座をするような設えだなと思いつつ大きな木の輪切りで作られた座卓へ床の間を向かい側にして座り、家主が登場するのを待つ事十分
廊下でドタドタという足音が聞こえ、現れたのは…
頭へねじり鉢巻を締め、ダボシャツを着てゴムの腹巻きに茶色のサルマタを履いたオッサンだった
まるでバカボ○のパパといった風体のオッサンは、あたしの会釈など気にせず床の間を背にして座り、ニターッと笑う