毒壺女子と清澄男子
「あ、それ私やりますよ! 大丈夫です、今日は旦那に子供のお迎え任せてるんで」
って、残業になる仕事でもサクッと引き受けてバリバリやってくれるし、子供が急病でも
「同居してる姑さんが見てくれるんで平気ですー」
と毎日の始業15分前に出勤して、いつも通りに仕事をしてくれる27才既婚2才の子持ちの後輩社員のエリカちゃんと来たら……

年は違えど同じ人妻、まああえて言うなら前者のおばさんは都会で生きる普通のサラリーマンの妻でありながらも専業主婦という稼業が許された『バブルの悪しきレガシー(遺産)』だろう

「バブルの頃はさー景気良すぎて、俺らでも君らくらいの頃に外車乗り回してロレックス買ったりしてたよ。接待費なんて湯水みたいにジャブジャブ使ってさぁ~」

おばさんと同い年の小坂井部長が安い居酒屋で開かれる部内飲み会で繰り返す言葉を思い出す

それと同時にその頃に調子コイて色々やらかしまくったツケを何で美味しい思いを一切せずに生きてきたこっちが払わなきゃいけないんだと腹が立つ

「すっごく欲しいんだけど、うちの予算的にねぇ~。何とかなんないかな~」

値引きしろ、ならまだいい

下手をするとオプションまでコミコミで付けろ

最低なのは女を利用してどうにかしてみろ? という勘違いドS思想をそれとない言葉や態度で示す輩

「今夜、空いてる? 渋谷の道玄坂の奥にいいワインバーがあってね、5000円でワイン飲み放題なんだよ~」

道玄坂の奥に何があるかなんて、今時中学生の女子でも知ってる
しかもそこで会社から許可された接待金額上限5000円をこっちが払わされた挙げ句、枕営業なんてさせられる謂れは無い
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