毒壺女子と清澄男子

まず深呼吸を一度してから口を開く

「大変恐縮なのですが、今日は社内研修がありまして。それと、そこのワインバーなんですが知り合いが働いてまして飲み放題のワインは賞味期限ギリギリの安物を色々混ぜて提供しているそうですよ。あと、不倫カップルのたまり場らしくてよく探偵も混ざっているそうです、ですから社長、お気をつけて下さいませね♪　」

こういう場合、ただ断るだけでは角が立つので相手に有益？　な情報を与えて断りつつ表情を瞳孔をガッツリ開いて指に食い込んで抜けそうにない結婚指輪とやけに美人でスタイルのいい事務員を交互にチラチラ見ながら追い討ちを掛ける

「他にもそういう場所があるようなので是非お教えしたいのですが、やはり情報というのは今の時代、何かの引き換えでなければご提供を、ねぇ」

これが社内で「毒蛇の本郷」と呼ばれる私のやり方の１つ『枕営業拒否編』

女=穴と思っている成り上がり系の中小企業社長には非常に効果的

舐めきっている相手にいきなり反撃を食らっても狭い世界で育った彼らの狭い了見では太刀打ちなんか出来ないのだ

用意をしていた契約書をバーン！　とファイルごと目の前に出し、にこやかに微笑みを浮かべれば契約成立

下心剥き出しのしょーもないおっさんなんてチョロいものだ