毒壺女子と清澄男子

そういうあたしも自分の今の現状に納得出来ていない

４年前に元彼と別れ、ちょうどそのタイミングで今は関西支社営業本部長になった神田さんから受けた某元テニスプレイヤー並の熱い指導により営業職に目覚めてしまい、彼氏作り及び婚活よりも仕事が何よりも優先になってしまった

男よりも仕事に全エネルギーを注げば自然と報酬もよろしくなり、いい生地のスーツ、履き心地が良くて疲れず長持ちする高級なヒール、放り投げてもびくともしない頑丈で書類がたっぷり入るブランドの本革ビジネスバッグを何の苦も無く手に入れて、更に『自己管理』の１つとしていい素材を使った日々の自炊まで始めてしまい、もはや男の立ち入る隙と時間など心に無くなったからだ

このままでいいのだろうか、いいや良くない

年は28歳、今のうちに婚活しなければ妊活に苦しむだろう

３６歳で仕事が一段落し、1年半をかけて婚活して結婚して東京の資産家の息子を捕まえたユカリ先輩が絶賛妊活中だけれど中々成果が出ず、やつれ切った様子で

『見た目の年齢で卵子の年齢は決まらないのよ……どうしても跡継ぎをってプレッシャーが凄いし……』

と呟いていたのを思い出す

更に

『婚活市場で言うと３０までが売り手市場、そこを過ぎるとよっぽどの奇跡が起きない限り、いいご縁なんて無いわ……うちの夫だってもう４０過ぎてて、見た目もそれなりだし、お義母様がアレだから妥協しかない感じだわ』

とも

そうはなりたくない、けれど男の件で仕事の勢いは止めたくない