秘密の同居生活~オレ様副社長の罠にはめられました~
「あなたならわかるはずです。俺とかおりは夫婦になるべきじゃないって。
俺とかおりは似ている。火と火が混ざり合ったらお互いに燃えてしまうだけなんです。」

母親はじっと俺を見ていた。

が…
突然…顔が歪んでおんおんと泣き出した。

けど、ひるむわけにはいかない…。

「俺は、夏菜を愛してる。最初はこの気持ちがなんなのかわからなかった。けど、今ならわかるんです。俺には夏菜しかいない。思えば最初から夏菜に対しては違っていた。夏菜は、夏菜がいないと俺はダメなんです。」

母親が泣き止むのを待った。

「夏菜ははやくに両親を亡くしてる。だから、あなたにひっぱたかれても、あなたと俺の仲を心配している。そんなヤツなんです。」

俺はさらに続けた。

「あなたはわかってるのでしょう?夏菜に手を上げたってことがどういうことか…。」

母親は顔を上げて俺を見た。
もう涙はなかった。

「あなたは治療が必要です。病院に行きましょう。」

母親は一度きつく目を閉じて、じっとしていた。

3分くらいそうしていたかもしれない。

そして…長い沈黙の後、言った。


「そうね。治療が必要だと…思うわ。」

そして立ち上がった。

「連れてってちょうだい。入院でもなんでもするわ。」
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