秘密の同居生活~オレ様副社長の罠にはめられました~
~葛城夏菜side~
思いがけず副社長の想いを聞く機会となった。
かおりさんを好きだとは思っていたけれど…もっと好きな女性が現れたという。
その人はかおりさんなんて目じゃないくらいすばらしいのだと副社長は瞳をキラキラさせて語った。
その女性のことを愛しているのだと思った。
ショックだった。
かおりさんよりさらに好きな女性が現れちゃ…
わたしなんて太刀打ちできないや…。
けどもともと…
こんなハイスペックな副社長なんてわたしが想うだけでもおそれ多い人…。
だいたい住む世界もまったくちがう人だし…
毎日家で副社長の笑顔を見れているだけで幸せだと思わなくちゃならない。
けど…
それもいつまでのことになるか…。
かおりさんはたぶん小室さんとうまくいきそうで。
そうなると、副社長がうちにいる意味もなくなる。
副社長はもう、もとのマンションに帰ってしまうかもしれない。
そう思うとさみしくて、かなしくて、どうしようもなくなる…
けれど、今は、副社長と一緒にいる間だけでも笑顔でいなくちゃ。
わたしは思い切り笑顔で言った。
「副社長の恋も…実るといいですね。わたし応援してます。」
笑顔笑顔…
少なくとも一緒にいれるのがあと少しなら…その間くらい笑顔でいたい。
今朝も笑顔で見送った。
わたしは副社長が家をでてから、30分後くらいに家を出る。
だから、副社長が家を出るときにはいつも見送るのだけど、いつも笑顔を心掛けている。
これから短い副社長との生活。ずっと笑顔で見送ろう。