秘密の同居生活~オレ様副社長の罠にはめられました~
ちょっとざわっとした胸の奥の感情は無視して、俺は葛城に声をかけた。

「ここにサインがほしいそうだ。あとは俺の机の上に置いておきなさい。1時にはとりにくるからそれまでに。いいな。」

「はい!わかりました!」

元気よく返事する葛城を見て、ちょっといい気分になりながら、俺は副社長室にもどる。

その週は忙しく、俺は3日も会食が入っていた。
面倒だけど、これも仕事だ…仕方ない…。

ほんとなら、葛城の作ったご飯食べながら今頃ジュジュと戯れてる頃なのに…

金曜日に疲れ果てて12時をすぎてから葛城邸にもどった。
ら…
ソファで寝ている葛城を発見して、戸惑ってしまった。


なんて無防備な…

思わず顔に見入ってしまう。

意外と長い睫毛はふさふさとつむった目を覆っていて、小さな厚みのある唇が少しだけ開いて、規則正しい寝息を立てている。

一瞬…この唇に触れたくなった。

そしてダメだと自分の気持ちを制御する。

そんなことしたら…
絶対ダメだ。

そして、半ば息を止めるように葛城を抱きかかえると、部屋まで運んだ。

意外と大きい葛城の柔らかい胸が俺の体にあたると思わず反応しそうになるから必死で耐える。

葛城をベッドにおろし、布団をかけると大急ぎで部屋を出た。

ふぅーっとため息をつく。

何やってるんだ?俺。
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