秘密の同居生活～オレ様副社長の罠にはめられました～
それは…絶対に譲らない。

だいたい何を考えているのか…
かおりを俺のマンションに勝手に引越させるとは！

あの日、俺は出張から帰ってマンションに戻るとかおりがいたのでびっくりしたのだ。
綺麗なワンピースを着て、玄関に三つ指をついて…待っていた。

覚悟を決めた顔で…。

おまえの覚悟なんかいらない。
そんな覚悟、俺にとっては迷惑なだけだ…。

「なにしてんだよ。おまえのいる場所はここじゃないだろ？」

俺が言うと、かおりは表情を消した顔で言った。

「ここよ。もう逃げない。春臣と結婚する。」

冗談じゃない。こんな表情のないかおりなんてかおりじゃない。

俺は、そのままマンションを飛び出した。
もう帰ってくるつもりはなかった。
ずっとホテルに泊まり続けたっていい。

そして、京太郎に連絡すると宝永と関係のないホテルをとってもらい、とりあえずその日はそこに泊まった。


その次の日だ。葛城と2度も遭遇する羽目になったのは…。



『春臣。許さないわよ。』

母親も絶対に譲らないらしい。
けれど俺だって耐えられることと耐えられないことがある。

『許さなくて結構。俺は明日も早いんでね。切るよ。』

一方的に受話器を置くと、ふぅーーーっとため息が漏れた。

俺だって母親と喧嘩はしたくない。

けれど…どう考えても無理な話なのだ。


他の男を愛しているかおりと結婚するなんて…。

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