先生の全部、俺で埋めてあげる。
「またおもしろい本、教えてほしいって言ってたでしょ?」
「…そうでしたっけ?」
「色々考えたんだけどね、里巳くんが好きそうな本」
「…」
考えてくれてたんだ。
ねえ、先生。
先生の一言一言に、俺がどれだけ揺さぶられているか知ってる?
「図書館で見つけたから、また図書館で会った時に教えるね」
先生が俺のことを考えて本を探してくれた。
それだけで、たまらなかった。
「時間できたら行きます」
結局俺は先生に彼氏がいるって知っても、先生を嫌いになることなんてできないんだ。
むしろ実際に先生と会って、先生と話すと
やっぱり好きな気持ちは全然なくなっていなくて。
気持ちがどんどん強くなっている気がして。
自分が怖くなった。