先生の全部、俺で埋めてあげる。

台風のせい




10月に入って、朝晩が冷えるようになってきた。


先生は華奢だから、体調を崩してないか心配になる。


余計なお世話だけど。




体育祭が終わって、学校は文化祭モード一色。


俺たちのクラスは野外でクレープの模擬店をやることになった。


買い出しは前日にすればいいし、あとは看板や宣伝用のチラシを作るだけ。


大した作業量でもないのに、俺は文化祭の準備とこじつけて遅くまで学校にいることが多くなった。


それもこれも図書館に行けないっていう理由をつくるため。




2学期になってからも俺は、一度も図書館に行っていない。


学校でも授業以外では、ほとんど先生と話さなかった。




それを埋めるかのように、柾木たちや寄ってくる女子たちと一緒にいた。


もう付き合ったりとか面倒なことはしないけど。


一人でいると余計なことを考えてしまいそうで、それが怖かったんだ。



< 104 / 338 >

この作品をシェア

pagetop