先生の全部、俺で埋めてあげる。
放課後、今日も学校に居残って文化祭の準備をしていた。
と言ってもほぼ喋ってるだけだけど。
「明日、台風だってよ」
柾木の言葉が耳に入る。
最近台風が多い。
台風の前日は、いつもよりも憂鬱だった。
帰りぎわ、1人の女子に誘われて一緒に帰ることになった。
2人で廊下を歩いていると、先生が反対側の校舎の窓越しに、
こっちを見ていることに気が付いた。
え?
俺のこと見てた?
違うよな。
たまたまだよな。
だけど、その先生がいつもと違う感じに見えた。
今にも泣きそうな顔。
どこか儚げで、消えてしまいそうな、
そんな感じだった。
また頭の中が先生でいっぱいになった。