先生の全部、俺で埋めてあげる。



「ごめんなさい」


別に先生を傷つけたい訳じゃないんだ。


ただ、先生に触れたかった。


それだけだった。




「今の忘れて下さい」


俺は心にもない言葉を言い残して先生のアパートを後にした。




それからどうやって自分の家に帰ったのかは覚えていない。




気がついたら朝で。


外で吹き付ける風の音が耳についてうるさくて、耳を塞いだ。



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