先生の全部、俺で埋めてあげる。



しばらくぼーっとして。


態勢を変えた時に、先生から返してもらったブレザーの袋が目に入った。


その袋を見た途端、目頭が熱くなって。




俺は、先生から返してもらったブレザーを袋から取り出した。


出した瞬間に柔軟剤の匂いがふわっと香る。




先生の匂い。




洗ってくれたのかな。




あーあ。




俺、先生のこと諦められるかな。


全然自信ないんだけど。




まだこんなにも好きなのに。




「どうすればいいんだよ…」




俺はここにはいない先生を、抱きしめるように。


無意識に、自分のブレザーをギュッと握りしめていた。



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