先生の全部、俺で埋めてあげる。
「吉田先生が産休に入るという事で、臨時で赴任してきました、加ヶ梨莉子です。
短い間ですが、よろしくお願いします」
先生の自己紹介が終わって、クラスのみんなは浮足立っていた。
男子たちは「超美人じゃん、やべー」とか言っていて。
女子たちも「カワイイー」「先生キレイ」と先生は持ち前の容姿で、すでにクラスみんなの心を掴んでいた。
「先生、彼氏いるんですかー?!」
クラスで目立つ女子が突拍子もなくそう投げかけて。
「おい、初日に失礼だぞ!で、彼氏いるんですか?」
男子も面白がって参戦している。
「内緒です」
先生は笑顔でそう言って。
クラスがキャー!とうるさくなった。
初めて会った時と違って、先生は髪の毛は後ろに結んでいて。
服装もこの前みたいにラフな感じではなく、かっちりとしたジャケット姿。
全然雰囲気が違うのに、笑顔だけはあの時と一緒だった。
もう一度、会えるなんて思ってもいなかった。
しかも学校で会うなんて。