先生の全部、俺で埋めてあげる。

「夕惺くん!」



放課後、教室の入り口で俺を呼ぶ女子が立っていた。

あー、今朝告白してきた子だ。

あれ、名前なんだっけ?

返事をしてカバンを持って近づく。



「夕惺くん、一緒に帰ろう」



そうだった、付き合うことにしたんだった。



「ごめん、やっぱり今朝のなしにしてくんない?」

「え?どういう意味?」

「やっぱり付き合えない」



俺は初めて自分から振った。



「え、あ。そっか、分かった」



目の前の女子は笑顔でさらりとそう言って、すぐに立ち去ってしまった。



なんだ、結構あっけなかったな。

それもそうか。

告白も告白だったし。

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