先生の全部、俺で埋めてあげる。



「どこにいんだよ…」


一人でいたから彼氏は帰ったんだよな。


反対側の校舎は、一般の人は立ち入り禁止になっていて、文化祭の出し物もない。


一人、ガランと静まり返った校舎を歩く。




音楽室前を通り過ぎるところでガタンと物音がした。


音楽室の中を覗いてみると、




いた。




先生が窓際で外を眺めていた。




「こんなところで何してるんですか?」


俺の声にびっくりしたみたいに、先生は慌ててこっちを見て、すぐにまた窓の外に顔を向けた。




え?




先生、泣いてる?



< 184 / 338 >

この作品をシェア

pagetop